知らない!じゃ、済まされない鎮静薬の使い分けと特徴を解説!

集中治療領域等でしばしば使用される鎮静薬。

なんとなくは理解しているものの『イマイチ使い分けが分からない』など、ニガテ意識を持っている方も多いはず。

鎮静薬を必要とする慌ただしい場面で、質問を受けてから「調べてから回答します」では正直遅すぎます。

そんなことにならないためにも、

知らない!じゃ、済まされない鎮静薬使い分けと・特徴について、まとめましたので一緒に勉強していきましょう。

特に重要な鎮静薬3選

鎮静薬の中で、よく使用されているのが、

  • ミダゾラム(ドルミカム®)
  • プロポフォール(ディプリバン®)
  • デクスメデトミジン(プレセデックス®)

の3つの薬剤です。

簡単に特徴をまとめたのが上の図になります。

これらの鎮静薬の特徴は非常に大切なので、しっかりマスターしておきましょう。

鎮静薬を使用するメリット・デメリット

まずは、鎮静薬を用いるメリットを簡単におさらいです。

鎮静薬を使用するメリット
  • 呼吸(酸素消費量)、循環動態の安定
  • 不安や不穏に伴う有害事象の予防
  • 回復後のPTSD(外傷性ストレス障害)の頻度低下

深い鎮静を行って『眠らせること』が鎮静薬使用の目的ではありません。

健忘を伴う適切な鎮静を行うことで、クリティカルケアにおける治療を快適に行うことができます。

また、鎮静薬を使用するデメリットについては、以下の通りです。

鎮静薬を使用するデメリット
  • 人工呼吸器離脱の長期化
  • 過鎮静による血圧低下や徐脈などの循環抑制
  • 臥床長期化による廃用症候群

過剰な鎮静は様々な合併症を引き起こす可能性があります。

深い鎮静よりも、浅い鎮静を常に心掛けるようにしましょう。

 

とはいえ、

クリティカルケアにおける鎮静において一番大切なのは”鎮痛”です。痛みの除去。

デクスメデトミジン(プレセデックス®)を除く鎮静薬には”鎮痛”作用はありません。

そのため鎮静薬と鎮痛薬は、しばしば併用されます。

適切な痛みのコントロールが、適切な鎮静を行う上で最も大切であることを必ず覚えておいてください。

鎮痛薬に関してはこちらの記事を参照して下さい。

今さら人に聞けない!鎮痛薬の使い分けと特徴を解説

それぞれの鎮静薬の特徴

では、それぞれの特徴を見ていきましょう。

ミダゾラム

まずはじめに、ミダゾラム(ドルミカム®)についてです。

他の鎮静薬と比較して”深い”鎮静になってしまうことが多く、過鎮静による舌根沈下呼吸抑制のリスクに注意しなければいけません。

また、ベンゾジアゼピン系薬剤であるために、せん妄のリスク長期使用による耐性が問題となってきます。

深い鎮静の弊害として、人工呼吸器管理の延長やICU入室期間延長などが問題視されており、最近ではミダゾラムの使用頻度が減ってきたと言われています。

そんなミダゾラムではありますが、薬価が非常に安い、他の鎮静薬と比較して血圧低下作用が少ない、”拮抗薬”存在することがメリットとして挙げられます。

ミダゾラムの拮抗薬であるフルマゼニル(アネキセート®)がこちらです。

使い方は図の通りです。

ここで最も注意しなければいけないことは、作用時間がミダゾラムよりも”短い”ことです。

これはどういうことかと言うと、ミダゾラムの拮抗をフルマゼニルで行った後にしばらくしてから、ミダゾラムではなくフルマゼニルの効果が先に切れることで再鎮静が起こる可能性があるということ。

だから、フルマゼニルを使用してもしっかりミダゾラムの効果が消えるまでは再鎮静のリスクがあり注意が必要です。

プロポフォール

次に、最もよく使用されている鎮静薬と言われるプロポフォールについてです。

プロポフォールは代謝が速く、持続時間が非常に短いので持続静注が必要です。

また、持続時間が短いために、投与後の”覚醒の質が高い“ことで有名な薬剤になります。制吐作用も持ち合わせているために術後の悪心嘔吐を緩和してくれることも、覚醒の質が高いことに関係しています。

そして、肝・腎機能の低下した症例に対しても比較的安全な薬剤とも言えます。

しかしながら、もちろんプロポフォールにも注意点がいくつか存在します。

まず1つ目に血管拡張作用が強く、血圧低下をきたしやすいため心機能が低下している患者には特に使用しにくい点が挙げられます。

なので、プロポフォールを使用する際には、血圧のモニタリングを決して怠らないことや昇圧薬をすぐ使用できるように準備をしておくなどが必要です。

2つ目にプロポフォールはダイズ油で作られた脂肪乳剤であるため、感染のリスクを考慮して最低12時間ごとに薬剤の交換が必要であること、

1mLあたり1.1kcalの熱量があるため、大量に使用する場合や長期に使用する場合には栄養管理で考慮されなければならないです。

3つ目の注意点として忘れてはいけないのが、

プロポフォール注入症候群(Propofol Infusion Syndrome:PRIS)です。

プロポフォール注入症候群は、原因不明の代謝性アシドーシス、高カリウム血症、急性腎障害、横紋筋融解症、循環不全などを起こす致死的な副作用です。

治療としては、プロポーフォールの投与中止とともに呼吸・循環管理を基本とした対症療法を行います。

一度発症してしまうと合併症、致死率が非常に高いため、心電図やCK値などの血液検査データを注意深くモニタリングしておくことが大切です。

デクスメデトミジン

さいごに解説していくのはデクスメデトミジン(プレセデックス®)です。

デクスメデトミジンはミダゾラムやプロポフォールの特徴とは少し異なり、鎮静作用のほかにも”鎮痛作用“を持っています。

また、ミダゾラムやプロポフォールにおいて問題視されている呼吸抑制せん妄の副作用が少なく、”自発呼吸を温存した”人工呼吸管理において頻用される薬剤となっています。

しかし、使用される機会が増えてきているデクスメデトミジンですが、当然デメリットも存在します。

まず1つめに鎮静作用が弱く、不穏が強い場合には他の鎮静薬と併用しなければならないことです。深い鎮静が必要な場合にはデクスメデトミジンは適していません。

2つめは、高用量で使用する場合には循環変動の可能性があることです。

α₂刺激作用によって、投与初期には血圧上昇がみられるが、次第に徐脈、血圧低下の副作用が現れてくる特徴があります。

血圧のモニタリングはもちろん必須です。また、徐脈が現れた際にはアトロピン等の使用も考慮に入れます。

最後に、他の鎮静薬と比較して薬価が高いことが挙げられます。最近では後発医薬品も発売されているので薬価差は無くなってきていますが、この3種の中では一番高価な薬剤です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

クリティカルケアでは鎮静薬は日常的に使用されています。今回は頻用される鎮静薬に絞って使い分けや特徴を挙げてみました。

また、薬剤の実際の使用法に関しては各施設のルールや処方する医師の考え方があると思いますので、細かい部分は添付文書やガイドラインにて確認しておきましょう。

さいごに、鎮静を行うときには薬ばかりに目が行きがちですが、良い鎮静には適切な”鎮痛”が必須であることを覚えておいてください。

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