今さら人に聞けない!鎮痛薬の使い分けと特徴を解説

クリティカルケアにおいて最も大切なことは”鎮痛”であり、さまざまな痛みから患者を解放する必要があります。疼痛により交感神経系の賦活が行われ、循環動態の悪化酸素消費量増加の可能性があります。

適切な鎮痛は不穏せん妄などの精神症状悪化を回避できると考えられており、鎮静よりも鎮痛を優先させる必要があります。

みなさんは目の前の患者さんが痛みに苦しんでいたらどうしますか?薬剤師として疼痛の管理に関わっていくことはとても重要です。

今回は、今さら人に聞けない!鎮痛薬の使い分けと特徴を詳しく勉強していきましょう。

オピオイド系鎮痛薬

オピオイド系鎮痛薬に特徴的なこととして、鎮痛作用に天井効果がないことです。痛みが強い場合には上限量がないため、非常に強い痛みが問題になるクリティカルケアではオピオイド系鎮痛薬が鎮痛の基本として使用されます。

適切に使用すれば非常に有用な一方で、注意すべき点も多く呼吸抑制低血圧(特にモルヒネ)、意識レベルの低下、胃・消化管機能の抑制などが問題となってきます。

モルヒネ(塩酸モルヒネ®)

モルヒネは作用時間が比較的長いため、激しい疼痛に間欠的に使用される(一定の時間をおいて繰り返し使用)こともあります。また、鎮痛作用以外にもがん患者における呼吸困難感の緩和にモルヒネが使用されることもある。(がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2016より)

血管拡張作用があり、循環動態が不安定な場合は低血圧等の理由から使いにくくまた、半減期が長く腎機能障害でさらに作用が蔓延するため注意が必要です。

透析性があるため、 透析中あるいは透析後にモルヒネの追加投与が必要になる可能性があります。したがって、透析患者にはモルヒネを使用しないほうが望ましいとされています。(がん疼痛薬物療法ガイドライン2010より)

フェンタニル(フェンタニル®)

フェンタニルは即効性があるが、持続時間が短いので持続静脈内投与で用いられます。モルヒネと異なり、血管拡張作用が少ないため循環動態が不安定な場合でも使いやすいというメリットがあります。

また、 フェンタニルは肝臓で主に代謝されるため比較的安全に腎機能障害患者や透析患者には使用できますが、 肝機能障害時には注意が必要です。

モルヒネと同様フェンタニルにも呼吸抑制や意識レベルの低下、 胃・消化管機能の抑制が副作用として見られますので注意してください。特に呼吸抑制を起こしている場合には縮瞳が見られるので、瞳孔径のフォローも行います。

がん患者における呼吸困難感の緩和にモルヒネが使用されることもありますが、フェンタニルに関しては有効性が認められなかったため使用すべきでないとされています。 (がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2016より)

レミフェンタニル(アルチバ®)

レミフェンタニルは比較的新しい鎮痛薬で作用発現が非常に早い(1-3分程度)です。作用発現も早いですが持続時間も非常に短い(3-10分程度)ため持続静脈内投与で用いられます。

レミフェンタニルの代謝は血液中や組織内の非特異的エステラーゼにより速やかに行われ、代謝物のレミフェンタニル酸の薬学的活性は低いため持続時間が短いとされています。 また、肝臓や腎臓の機能障害による薬物動態への影響がないことが特徴に挙げられます。

基本的な副作用や注意点は他のオピオイド鎮痛薬と重複する部分が多いですが、現時点の適応として手術室での全身麻酔時の導入に限られてることが注意です。

(番外編)オピオイド系鎮痛薬の拮抗薬

ナロキソン(ナロキソン®)

ナロキソンはオピオイド鎮痛薬が作用するμ受容体に拮抗することによりオピオイド鎮痛薬の効果を減弱させ、呼吸抑制や過鎮静、低血圧などの副作用を改善します。呼吸抑制作用に対する拮抗作用は、鎮痛作用に対する拮抗作用の2ー3倍強力であるとされています。

少量のナロキソンは、モルヒネの鎮痛作用を減弱させることなく嘔気・嘔吐を抑え、耐性と依存性を軽減できる可能性が報告されています。また、モルヒネによる呼吸抑制に拮抗する量の1/1,000以下で、モルヒネの副作用を軽減すると同時にモルヒネへの耐性を弱めて鎮痛作用を増強するとされています。

作用発現は静注時1ー2分、筋注、皮下注時、気管内投与時2ー5分とされており、作用持続時間は20ー60分の範囲とされています。また、30分で効果は著明に減少するため呼吸抑制などが再発する可能性があります。

(参考文献 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版)

オピオイド拮抗性鎮痛薬

オピオイド拮抗性鎮痛薬は、麻薬のように取り扱いが煩雑でないために本邦においてしばしば用いられています。

しかし、オピオイド鎮痛薬に比べて”天井効果”があり、使用できる投与量が制限されることや麻薬拮抗的に作用するため、クリティカルケアではそこまで多く使用されないのが現状です。

ペンタゾシン(ソセゴン®)

ペンタゾシンはμオピオイド受容体の拮抗薬であり,κオピオイド受容体刺激薬です。ペンタゾシンの鎮痛作用はモルヒネのおよそ1/2ー1/4の効力です。

注意点として、呼吸抑制があるほか交感神経刺激作用による末梢血管収縮作用や血圧上昇、心筋酸素消費量を増加させるため、心疾患を有する患者に投与する場合は注意が必要です。

また、情緒が不安定で薬物依存の傾向を示す患者に対しては依存性、習慣性が認められているので長期投与は避けます。

ブプレノルフィン(レペタン®)

ブプレノルフィンは.μオピオイド受容体には部分刺激薬として作用し、κ受容体には拮抗薬として作用します。鎮痛効果はモルヒネの約30ー40倍であり、作用時間が約 10時間と長いのが特徴です。

注意点として、呼吸抑制があるほか血管拡張作用があるために低血圧には注意しなければいけませんが、フェンタニルが使用できない場合や迅速な処置が必要な場合には、ブプレノルフィンはしばしば使用されます。

そのほか、依存性は少ないとされています。

その他の鎮痛薬

NSAIDs

NSAIDsには様々な種類があり代表的な薬剤として、注射薬であるフルルビプロフェン(ロピオン®)やOTC薬としても有名なロキソプロフェン(ロキソニン®)、様々な剤形を持つジクロフェナク(ボルタレン®)などが挙げられます。

主な副作用は消化管障害や腎機能障害、肝機能障害などが有名です。

また、NSAIDs潰瘍の治療や予防で用いられるミソプロストール(サイトテック®)はPGE₁製剤で胃酸分泌抑制作用と粘膜防御作用を持っています。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは安全性が高いのが特徴であり、解熱作用と鎮痛効果を持つ。循環器系や呼吸器系の影響が少なく、出血時間延長や消化管障害もありません。

吸収は良好でバイオアベイラビリティは非常に高く(60ー98%)、最高血中濃度へは約30分程度で達するため鎮痛薬としては使用しやすい薬剤です。小児から高齢者まで安全に使用できると言われており、様々な長所があります。点滴のアセトアミノフェン(アセリオ®)製剤も発売されていて、術後の疼痛管理や緩和ケアにおいても使用されるケースが増えてきています。

また、添付文書上で”1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には定期的に肝機能検査を行い患者の状態を十分に観察すること”となっていますので、肝機能のモニタリングを忘れずに行いましょう。

トラマドール(トラマール®)

トラマドール(トラマール®)は優れた鎮痛効果とオピオイド鎮痛薬に特徴的な循環系への影響や呼吸抑制が少ないことが特徴です。また、身体ならびに精神依存性、薬物耐性といった精神症状の出現が少ないことから各種の癌性疼痛、慢性疼痛、術後疼痛に使用されています。

μオピオイド受容体にアゴニストとして作用するため、呼吸抑制や悪心嘔吐、消化管運動の抑制などオピオイド鎮痛薬と同様の副作用に注意が必要です。

まとめ

鎮痛薬には様々な種類があり、疼痛の程度や患者の状態によって使い分けなくてはなりません。今回取り上げた鎮痛薬以外にも重要な鎮痛薬も存在しますの是非勉強してみてはいかがでしょうか。

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