分かっていないと恥ずかしい!循環作動薬の使い分けと特徴



クリティカルケアにおいて、なくてはならない循環作動薬。

アドレナリンやノルアドレナリンなど、名前は聞いたことはあるけども使い分けや違いをしっかり理解している人は多くはないと思います。

また、理解を複雑にしている原因として投与量や投与速度に関わるγ(ガンマ)計算があります。

今回はそんな循環作動薬について分かりやすく解説をしていきます。

循環作動薬について

 循環作動薬には血管収縮作用によって血圧を維持する”血管収縮薬“と、心拍出量を増加させ循環を維持する”強心薬”の2種類に分類されます。

血管収縮薬(α作動薬)

主に血管収縮作用を持ち、末梢血管抵抗を増加させ前後負荷を増加させ循環の維持に働く薬剤

強心薬(β₁作動薬、PDE阻害薬等)

心収縮力と心拍数を増加させて、心拍出量を保ち循環の維持に働く薬剤

上の図に示した通り純粋なα作用を持つもの、β作用を持つものやαβ両方の作用を持つもの、投与量によってα、β作用が異なる薬剤が存在しています。

血管収縮薬

ドパミン(イノバン®注)

ドパミンは少量(<1-3γ)、中等量(3-10γ)、高用量(>10γ)で作用が異なるのが特徴です。

ノルアドレナリンの前駆体であり、ドパミン受容体(D受容体)をはじめβ 1、β 2およびα受容体に対して刺激作用を持っています。

低用量のドパミンはドパミン受容体を介して腎血流量を増加させ、中等量では交感神経の間接作用によって心収縮力、心拍出量を増やします。

また、高用量のドパミンは血管のα1受容体を刺激して血圧を上昇させると言われています。

しかし、ドパミンの欠点として頻脈や不整脈の心副作用がノルアドレナリンと比較して高いことが挙げられ、クリティカルケアにおいてはやや使用しにくい薬剤と言われています。

ドパミンには0.3%キット=3mg/1mL製剤があり投与速度(mL/時間)と投与量(γ)の関係は上の表になっています。

体重50kgの人の場合、投与量(γ)と投与速度(mL/ 時間)が一致するので覚えやすいかと思います。

ノルアドレナリン(ノルアドリナリン®)

ノルアドレナリンは強力なα作用と若干のβ作用を持った薬剤で、ショックによる低血圧に対する第一選択薬となっています。

また、フェニレフリン(ネオシネジン®)とは異なり若干のβ作用があるおかげで反射性の徐脈になりにくいと言われています。脈を動かさずに血管を締められるのがノルアドレナリンです。

ちなみにノルアドレナリンの商品名はノルアド””ナリンなのでお間違えなく。

使用する上での注意点として、投与する際はなるべく中心静脈から投与する必要がります。血管収縮作用のある薬剤を投与する場合には、血管が締まることで末梢性のチアノーゼや虚血が起こる可能性があるため注意が必要です。

血管外に漏出した場合にも局所の壊死が起こることがあり、投与中は注意深く観察する必要性があります。

よくあるノルアドレナリンの処方例として、3Aを生理食塩液で50mLに希釈する場合と、5Aを生理食塩液で50mLに希釈することが多いと思います。

ドパミンの計算とは異なり、ノルアドレナリンの投与速度の計算はやや複雑なため速度表を作成しました。

 

アドレナリン(ボスミン®)

 アドレナリンはα1、α2、β1、β2受容体刺激作用を持つカテコラミンです。強力な血管収縮作用であるα作用と、心拍出量増加作用のβ作用を持っているために、心停止での心肺蘇生において第一選択薬となっています。

また、β刺激による気管支拡張作用ヒスタミン遊離抑制作用を持っているために、アナフィラキシーショック時における第一選択薬にもなっています。

しかし、正常人に使用した場合には強力なα、β作用によって不整脈を誘発してしまうため、心停止時にのみ静注で投与できますが、アナフィラキシーショック時には筋注での投与となるので注意してください。

エフェドリン

 エフェドリンはα作用とβ作用の両方を持つ薬剤です。血管収縮作用と心拍数および心拍出量増加作用を有しており、麻酔中の低血圧における第一選択薬となっています。

血管を締めるべきなのか、心臓を打たせたほうがよいのか不明な時に便利な薬剤となっています。

フェニレフリン(ネオシネジン®)

フェニレフリンはα作用のみをもつ純粋な血管収縮薬です。

反射性の徐脈になるため、虚血性心疾患の患者でも使いやすい特徴があります。すなわち、心臓の仕事量を増やしてはいけないような場合に適しています。

脈が速くて血圧が下がっているという状況でフェニレフリンは使用できると覚えておいてください。

バソプレシン

抗利尿ホルモン(ADH)でありV1受容体を介して末梢血管収縮作用があります。

敗血症性ショックではノルアドレナリンと併用すると、血管感受性が高まることで昇圧作用の増強と生命予後改善があると言われています。

敗血症性ショック時のバソプレシンの使い方としては、ノルアドレナリンで十分な昇圧効果が得られない場合にノルアドレナリン投与下に0.03 単位/minの注入速度で持続静注します。

また、心肺蘇生の際のバソプレシンの投与方法として、初回または2回目のアドレナリンの代わりに 40単位を静注するとなっています。

強心薬

ドブタミン

ドブタミンはβ1刺激を主とする強心薬として、心拍数と心収縮力を増強させます。そのため、左心不全など低心機能のケースで使用されることが多いです。

ドパミンは使用する上で便利な作用がありますが、血管収縮するのか心拍出量を上げるのか使用するまで分からない薬でした。そのため、ドパミンで2つまとめて行っていた作用をα作用はノルアドレナリン、β作用はドブタミンといった形で分けて考える方法が行われています。

また、製剤の濃度はドパミン(イノバン®)と同じため、投与量(γ)と投与速度(mL/時間)の関係は以下のようなイノバン®と同じ対応表となっています。

イソプロテレノール

イソプロテレノールは純粋なβ刺激薬でα作用がないのが特徴でアトロピンに反応しない徐脈に対して使用します。β作用しかないため使用していると脈は速くなるが血圧は低下してくるので注意が必要です。

もし、イソプロテレノールを使用しても徐脈が改善されなければペーシング(ペースメーカー)の適応になります。

ミルリノン、オルプリノン

ミルリノン、オルプリノンはPDE阻害薬でcAMP上昇によって心収縮・心拍出量を増やします。また、血管拡張作用があり血圧低下例では使用しにくいことや、腎機能低下例では投与量調節が必要なことに注意が必要です。

また、ドブタミンと比較して心筋酸素消費量を増やさないことや、β遮断薬使用例ではドブタミンの代わりに強心薬として用いることができることなどが特徴として挙げられます。

ミルリノンとオルプリノンの違いに関しては、血小板低下作用の副作用が強いのはミルリノンで血管拡張や血圧低下作用が強いのはオルプリノンと言われています。

それぞれの薬剤のよくある希釈例と投与量(γ)と投与速度(mL/時間)の表を載せておきますので参考にして下さい。

まとめ

 クリティカルケアにおいて循環管理に必要な循環作動薬について理解は深まったでしょうか。敗血症性ショックやアナフィラキシーショック、心原性ショックなどで循環動態が悪化した患者に対して循環作動薬は頻用されるため、しっかり学習して慌てることのないようにしておいてください。

また、循環作動薬に特徴的なγ計算など自分なりにすぐに計算できるように練習しておきましょう。



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